最近ニュースリリースがあって、一部で話題になっていますが、来年3月からJR東日本の運賃が改定されます。早く言えば値上げされます。
いろいろなサイトやニュースなどで取り上げられていますが、結構説明が長いので、ここではなるべく簡潔に何が変わるのかについて書いていきたいと思います。
詳細について知りたい方は、JRからの公式の案内を参照するといいと思います。【電子ブック】JR東日本運賃改定のご案内
まず、全体に運賃が上がります。それはそうですね。改定率は幹線で4.4%、地方交通線で5.2%とのことです。幹線、地方交通線てなんだよ?と言われそうですね。いわゆるローカル線と呼ばれるものが地方交通線、それ以外の路線が幹線と呼ばれており、運賃体系が異なっています。ちなみに関東地方で地方交通線に指定されているのは、八高線、久留里線、東金線、鹿島線、日光線、烏山線、水郡線です。
それよりも大きなトピックとしては、電車特定区間及び山手線内の運賃制度が廃止されます。電車特定区間はかつて国電区間と呼ばれていましたが、JRになったのでE電という腐った名称を付けたがスベったので今の名称に変わりました。もともとは都市近郊の電車が走っていた区間が指定されています。今は電化区間が広がっていますが、かつて近郊電車が走っていた区間に当たります。なお京葉線(千葉みなとまで)と武蔵小杉(正式には鶴見なんですが)~羽沢横浜国大間が追加されていますが。山手線内は文字通り山手線及びその内部(神田~代々木間、秋葉原~御茶ノ水間)で適用される運賃です。
電車特定区間や山手線内は利用者が多く、また競合する他社路線もありますので、通常の運賃よりも安い運賃体系が採用されています。それが来年3月でなくなり、東京の路線も田舎の路線と同じ運賃体系になるわけです。改定率は電車特定区間で10.4%、山手線内で16.4%とされています。例を挙げると、品川~池袋間(15.4キロ)が現行274円から341円(IC運賃)に上がります。現金だと280⇒350円となります。
JRのサイトを見ると、運賃改定の理由とかいろいろ言い訳が書いてますけど興味はないです。それよりも今は私鉄、東京メトロよりも比較的安いのに値上げしたらみんなそちらに行くのではないか?と思うのですが。渋谷駅の地底深くののりば(特に東横線&副都心線)に行くよりは山手線の方が近いから、そこだけはJRを選ぶかもしれませんが、基本的には安い方に行くのではないかと。
少し長い記事ですので、プレビューはここで切ります。
それ以外に改定、いや改悪される部分があります。それは往復乗車券(往復割引乗車券も)、連続乗車券が廃止されるということです。往復乗車券は発駅から着駅の乗車券と帰りの着駅から発駅の乗車券がセットになったものです。また、片道の距離が601キロ以上の場合往復とも1割引となるのが往復割引乗車券です。連続乗車券は分かりにくいのですが、2枚の片道乗車券または往復乗車券を組み合わせたものです。つまり経路が一部重複する場合や、経路の途中で別の駅へ往復する場合など、本来は別の乗車券とするべきところを1枚にまとめたものです。運賃は区間ごとの計算ですが、有効日数は通算で計算されます。
往復乗車券は便利なんですけどね。昔津軽線走破の際、青森~三厩間の往復券を買ったことがあります。三厩は無人駅なので、きっぷを売っていません。往復割引乗車券の廃止は収益改善のためでしょう。今は代わりの企画乗車券があるなんていい加減なことを言ってますが、片道601キロ以上の移動をフォローするきっぷなんてありましたっけ?そもそも会社またぎのきっぷなんて北海道&東日本パスぐらいしかないだろ。
参考までに東京から601キロ以上の区間はどうなるかというと、西に向かうなら山陽本線の塩屋(実際は塩屋までだと神戸市内になるので、明石市に入る朝霧)、和歌山線の高田(大和路快速利用の場合)、阪和線なら熊取(日根野の手前)、北へ向かうなら田沢湖線の鑓見内(角館と大曲の間)まで行かないといけません。会社線を越えて利用できる企画乗車券は東日本と北海道間しかありませんので、往復割引に代わるきっぷがあるという彼らの主張は全くのデタラメであることが分かります。
ちなみに、往復乗車券、連続乗車券の廃止は全国共通のようです。ついでに大阪から601キロ以上の場所はどこかというと、西へ向かうなら鹿児島本線の東福間、日豊本線の豊前松江、東に向かうなら宇都宮線の新白岡、高崎線の北本となります。北陸方面はなんと羽越本線の岩船町(えちごトキめき鉄道の上越妙高~直江津間を除いて計算しています)となります。
また、往復乗車券、連続乗車券が廃止になることで、学割証(学校学生生徒旅客運賃割引証)の扱いも変わります。原則として1枚の学割証で1枚の乗車券しか買えませんが、救済措置として片道乗車券2行程までのきっぷを1枚の学割証で購入できるようになります。
最後に、これは運賃計算の細かいルールなので、分からない場合はみどりの窓口の駅員さんまたは指定券券売機にお任せしてもいいのですが、旅行する時の注意点も書いておきます。今回の改正から東日本管内にも加算運賃が適用されます。今まではJR北海道、四国、九州(いわゆる三島会社)に適用されていた幹線の運賃に会社ごとに加算する金額があるのですが、今回JR東日本でも適用されます。運賃計算は分かる人に任せればいいですが、それによってJR東日本とJR東海の間に運賃の差が生じます。つまり東京~熱海間で新幹線を利用する場合と在来線を利用する場合で運賃が異なることになります。
今までも東海道新幹線を利用する場合と並行する在来線を利用する場合では会社が異なりますので、経路を指定して買うことになっていましたが、運賃が同じなので在来線のきっぷで新幹線に乗ることは黙認されていました。しかし、今回運賃が異なることになるので、経路指定が必須となるのです。もっとも在来線(特急踊り子含む)で移動する人は基本Suica利用だと思われるので、あまり気にすることはないかもしれません。しかし、気まぐれに紙の乗車券を使いたいと思った時は、ちゃんと経路を指定して購入してください。
例えば東京から熱海に行くのに、新幹線に乗ろうとしてきっぷを買ったものの気が変わって在来線に乗るからと特急券を払い戻すのはいいのですが、その乗車券(幹)で熱海まで行くと降りる時に110円を請求されることになります。バレないんじゃない?いいえ、バレます。新幹線の改札機を通過すると乗車券に入場、出場の印字がされますので、一発で分かります。
まだ来年の3月14日まで時間がありますので、今回の運賃改定について情報を確認していただければと思います。オレはSuica(PASMO)しか使わない、という方にはほぼ影響のない話ですが、遠くへ旅行される場合、東海道新幹線を利用される場合はおそらく必要になることだと思われます。