2026年3月14日にJRがダイヤ改正を行います。そして、JR東日本では運賃体系の見直し(電車特定区間、山手線内運賃の廃止など)、往復乗車券(往復割引乗車券)、連続乗車券の廃止が行われます。そのことについては先日述べた通りです(こちらを参照)。
それ以外にも大きな変化として、大都市近郊区間の拡大が行われます。今でも十分すぎるほど広いのですが。今回は、大糸線の白馬まで東京近郊区間が拡大されます。大糸線?白馬?そうですね、スキーをするとか登山する人でないと分からないような場所です。
これが何を意味するかというと、東京から白馬という長野県のかなり北の方までの乗車券で途中下車ができないことになります。昔と違って、今は駅ナカもかなり充実してきたから、駅を降りなくてもそれほど不便はないかもしれません。ただの旅行者ならそうかもしれませんけど、我々は違います。目的地に興味があるわけではありません。旅の途中で各駅に降りて、周辺の郵便局に行きたいのです。そんな我々にとって、途中下車ができないというのは死活問題なのです。
その代わりになるきっぷがあれば問題はないのですが、そういうものはかなり少ないです。たいていの旅行商品、企画きっぷというものは、目的地周辺の周遊とそこまでの往復乗車券が付くのが一般的であり、その往復乗車券は多くの場合下車前途無効(途中で降りたら回収される)となっています。
ではどうするのか?大都市近郊区間内の駅は諦めるか?そういう選択肢もありますけど、できれば回りたい。そのための方法として、2つあると思います。1つは、地道に途中駅で降りてきっぷを買い直す。いや、Suicaがあるから乗り降りの際にあの雨ざらしの簡易Suica改札機にピッとすればいいだけですが。もう1つは、大都市近郊区間の外に出ること。つまり、大都市近郊区間外の駅まできっぷを買えば、もちろん101キロ以上の区間になりますが、それで途中下車が可能になります。
ところで、今の(拡大後の)東京近郊区間(用語がコロコロ変わってすみません、東京の大都市近郊区間という意味です)はどこまで侵食、いや拡大しているのでしょうか。東京近郊と言いますか、関東地方はまず含まれているとして、それ以外の限界を見てみましょう。
まず、西の方は東海道本線熱海まで(伊東線も)、そして中央本線塩尻の先、篠ノ井線、信越本線(2)を経由して長野まで、松本からの大糸線穂高まで(3月14日からは白馬まで)、小海線は野辺山まで、東の方は東北本線(宇都宮線)黒磯、常磐線浪江まで、水郡線は常陸大子まで、北へ向かうと上越線の水上までとなります。なお、新幹線は扱いが特殊なのでここでは省きます。
では、東京駅を基点として各方面への旅行を考えてみましょう。熱海は近いので、まず白馬方面から。東京から白馬までは295.1キロ(中央、篠ノ井、大糸線経由)。途中下車をするためにはその次の信濃森上まで行く必要があります。距離は297.0キロ。運賃は5720円(改定後。以下同じ)。一方、途中駅で降りながら白馬を目指す場合を考えます。途中駅は、そうですね、小淵沢、上諏訪、岡谷、塩尻、松本とします。東京~小淵沢間の距離が173.7キロと201キロに満たないので(東京都区内、特定市内発着の適用外)新宿発で計算します。
新宿~小淵沢 163.4キロ 3190円
小淵沢~上諏訪 28.2キロ 528円
上諏訪~岡谷 8.5キロ 209円
岡谷~塩尻 11.7キロ 253円
塩尻~松本 13.3キロ 253円
松本~白馬 59.7キロ 1221円
合計 5654円
うん、Suica利用の方が微妙に安い?ただし、これは大都市近郊区間の限界まで行った場合なので、それより手前だと(ex.松本)通した方が安い場合もあります。だいたい郵便局に寄りながらだと、そんな遠くには行けません。
もう少し手前でいいなら、小淵沢から小海線に逃げる手もあります。東京から信濃川上(野辺山の次)までは205.2キロで運賃は3850円(東京都区内発)。これを新宿から刻むと、
新宿~八王子 37.1キロ 616円
八王子~高尾 5.7キロ 199円
高尾~大月 34.7キロ 616円
大月~塩山 29.1キロ 528円
塩山~甲府 17.2キロ 341円
甲府~小淵沢 39.6キロ 715円
小淵沢~野辺山 23.4キロ 528円
合計 3543円
むむぅ。これはケースバイケースなんでしょうか?行程の組み方によっては通しで買うよりも安くなるのかもしれません。
では、もう1つ気になっている常磐線ルートを検証しましょう。東京から浪江(福島第一原発よりも北にあると言えば伝わりますか?)までの距離は274.4キロ、その次の桃内までは279.3キロ、運賃は5060円。これを上野から乗って、途中柏、取手、土浦、水戸、高萩、いわきで降りることにします。
上野~柏 29.1キロ 528円
柏~取手 10.5キロ 253円
取手~土浦 26.4キロ 528円
土浦~水戸 51.5キロ 1034円
水戸~高萩 47.2キロ 902円
高萩~いわき 46.9キロ 1662円
いわき~浪江 59.2キロ 1034円
合計 5941円
さすがにここまで来ると、通しで買った方が安いです。なんですって?水郡線ルートはどうなんだ、ですか?ではそちらも見てみましょう。水郡線の限界は常陸大子、その次の下野宮まで行くことを考えます。東京からの距離が200キロ以下なので、都区内発にはなりません。よって、上野~下野宮間の距離は179.5キロ、運賃は3520円です。今度は、柏、取手、土浦、石岡、水戸、常陸大宮で降りることにしましょうか。
上野~柏 29.1キロ 528円
柏~取手 10.5キロ 253円
取手~土浦 26.4キロ 528円
土浦~石岡 16.2キロ 314円
石岡~水戸 35.3キロ 715円
水戸~常陸大宮 23.4キロ 528円
常陸大宮~常陸大子 32.2キロ 715円
合計 3581円
これまた微妙な結果になりました。通し運賃が少しだけ安いですね。結論としては行程の組み方によっては通し運賃よりも安くなることがある。でも青春18きっぷしか勝たん!?ということになるでしょうか。一つ言えることは、プランニングの手間が増えたということです。今までは何も考えずに長距離きっぷを買って気ままに途中下車すればよかったのに。
一般の人はSuica利用でも長距離は特急に乗るから有効日数なんて1日で十分なんだ、ということでしょうか?現に新幹線eチケットやタッチでGo!新幹線などは距離を無視して乗車券は当日限りですからね。でもあれは特急券とセットになった旅行商品なので。
Suicaのゴリ押し利用拡大と共に広がる大都市近郊区間。いずれは地域間(首都圏、仙台、新潟、青森、秋田、盛岡、東海(TOICAエリア)など)の壁もなくなるとか。Suicaはあくまでプリペイドカードであって乗車券ではないというのがししょーの日頃から主張なのですが、これも位置情報の活用によって経路を特定できて、乗車券のように使える日も来るとか。でも途中下車の制度は大事なので残してほしいですね。我々の旅の自由がなくなります。
ただ、大都市近郊区間の攻略としては、ピンポイントで回る方がいいのかもしれないと思い始めてもいます。旅の途中でふらっと途中下車するのは、長距離きっぷ(長い片道乗車券)ならではのスタイルなのかもしれません。
